月配列2-263式が発表されたのが2003年9月1日。20年も昔の話。時がたつのは早いですね。当時はまだ月配列には手を出していませんでした。「たくさんのカナを覚えるとかムリ」そんなふうに考えていた時期が自分にもあったわけです。代わりにAZIKやSKK、アルファベットそのものの並べ替え、そんなところからスタートしたような気がします。
入力は遅いよりも速い方が良い。タイパーでなくてもそう思います。キーボードの配列をちょっといじれば楽に速く打てるはず。なぁに簡単。日本語でも英語でも出現頻度の高いものを打ちやすいところに配置すれば合理的な配列の一丁上がり。指が届きやすい三段十列の範囲をちゃちゃっと並べなおせばおしまい。行けるっしょ?これが配列沼の入り口です。沼へようこそ!
実際はそう簡単に行きません。もちろん「これでいいや」と本人が思えばそこで試合終了なので終わらせることは出来ます。でもいじりたくなっちゃう。あともうちょい、ここを変えればもっと良くなるはず。そのもうちょいを繰り返すうちに年単位の時間が溶けて行きます。溶けました。
配列界隈。配列好きは自分たちの活動範囲をそう呼んでいます。かつては2チャンネルが主な議論の場でした。変化があったのがTwitter。2010年前後に2チャンネルからTwitterに住人が移動。この移動でずいぶん議論や交流の雰囲気が変わりました。2チャンネルは修羅でしたから。私はよく知りませんがタイピング界隈も同じでしょうか?
場が変わると設計のセオリーも変わる。それを最初に感じたのが薙刀式でした。薙刀式は大岡俊彦さんが設計したカナ配列で現在もアップデートが続いています。2チャンネル時代の設計セオリーにとらわれないユニークなカナ配置がとても新鮮でした。さらに今は自作キーボード勢が設計した論理配列もたくさん出てきています。配列好きにはとても楽しい状況です。
Twitterに移住したことで競技タイピングに取り組んでいる方たちがたくさん視界に入ってきました。配列好きも入力速度の向上に関心を持っています。でも次元が違う。大げさでなく速度に三倍くらい開きがある。配列界隈に競技タイピングの知見が輸入されたことで「同じ指が連続しないよう設計する」などがより重視されるようになったと思います。
新配列は速いのか。実に不思議なのですが速度に関してQwertyローマ字と旧JISカナを凌駕する新配列は存在しません。これは残念であると同時に楽しいことでもあります。それなりの人数で20年以上取り組んで超えられなかった壁。超えるところを見てみたいです。どなたか最初に超えてみませんか?